たんぽぽの綿毛が敷き詰められた、ふわふわでメルヘンな空間。









季節もの、そして痛みやすいたんぽぽの綿毛をよくここまで集めたものだ。貴重な材料を大切に運び並べる姿を想像するだけで、彼女のこの作品への強い思いが伝わる。そこまでして彼女が表現したかったもの、それは「無風」。野原で種が散っていくのを待つのではなく、風の無い空間で種が散ることも気にかけずにのびのびと過ごす綿毛たちを見ると、なんとも心が和む。ちょっとでもすきま風が入れば、この作品は完成しない。このほどよい緊張感が、真っ白で柔らかな空間を引き締めてくれる。